TOPICS 医療コラム

プレオルソはどんな子に向いている?

お口ぽかん・口呼吸・歯並び…こんなサインがあれば一度小児矯正の相談を

「子どもの前歯が少し出ている気がする」

「いつも口がぽかんと開いているけれど、大丈夫?」

「永久歯が生えてきたら、歯が重なってきた」

お子さまの成長を見ていると、このようなお口の変化が気になることはありませんか?

子どもの歯並びについて、「もう少し大きくなったら自然に治るかな」「永久歯が全部生えてから矯正を考えればいいかな」と様子を見ている保護者の方も少なくありません。

しかし、子どもの歯並びや噛み合わせには、歯そのものだけでなく、あごの成長、舌の位置、唇や頬などのお口周りの筋肉、呼吸や飲み込み方、日常生活の癖など、さまざまな要素が関係しています。

そのため、小児矯正では「歯がガタガタになってから治す」という考え方だけではなく、成長期のうちにお口の状態を確認し、歯並びに影響する原因がないかを見ていくことも大切です。

その選択肢の一つが、**「プレオルソ」**です。

今回は、プレオルソがどのような子どもに向いているのか、保護者の方に気づいていただきたいお口のサインとともに詳しく解説します。



そもそもプレオルソとは?

プレオルソは、成長期の子どもに使用する取り外し式のマウスピース型矯正装置です。

一般的なワイヤー矯正のように一本一本の歯を細かく移動させることだけを目的とするのではなく、舌や唇、お口周りの筋肉などにも働きかけ、歯並びや噛み合わせに影響するお口の機能を整えていくことを目的としています。

子どもの歯やあごは、まだ成長の途中です。

そのため、この時期に歯並びだけを見るのではなく、「どうしてこの歯並びになっているのか」という部分まで確認することが重要になります。

では、具体的にどのようなお子さまがプレオルソによる小児矯正を検討する対象になるのでしょうか。



サイン① いつも「お口ぽかん」になっている

まずチェックしていただきたいのが、お子さまが普段どのように口を閉じているかです。

テレビを見ているときやゲームをしているとき、本を読んでいるときなどに、無意識に口がぽかんと開いていませんか?

「癖だから大丈夫」と思われることもありますが、お口が開いた状態が続いている場合、唇を閉じる力や舌の位置、鼻呼吸の状態などを確認する必要があります。

本来、安静時の舌は上あご側の適切な位置にあることが望ましいとされています。

しかし、お口が開いている状態では舌が低い位置になっていることもあります。

舌や唇、頬などから歯にかかる力のバランスは、歯並びとも関係しています。

プレオルソでは装置を使用しながら、お口周りの筋肉や舌の使い方を整えることを目指します。

「歯並びはそれほど悪くないから」と考えるのではなく、お口ぽかんそのものが相談のきっかけになると覚えておきましょう。



サイン② 口呼吸をしている

お口ぽかんと関連して注意したいのが「口呼吸」です。

普段から口で息をしていたり、寝ているときに口が開いていたりする場合は、一度お口の状態を確認してみることをおすすめします。

鼻づまりなど耳鼻咽喉科領域の原因が隠れている場合もあるため、すべてを歯科だけで解決できるわけではありません。

一方で、口呼吸とお口周りの筋肉や舌の位置には関連があります。

プレオルソでは、装置を装着して唇を閉じることなどを通じ、お口周りの筋肉や舌の使い方にアプローチします。

そのため当院では、歯並びだけを見るのではなく、普段の呼吸やお口の使い方についても確認しています。



サイン③ 前歯が出ている・口が閉じにくい

横からお子さまの顔を見たとき、

「前歯が前に出ている」

「口を閉じようとすると力が入っている」

と感じることはありませんか?

いわゆる「出っ歯」と呼ばれる状態は、専門的には上顎前突などと呼ばれます。

骨格的な要因や歯の生え方などさまざまな原因がありますが、指しゃぶりや舌で前歯を押す癖、お口周りの筋肉のバランスなどが関係するケースもあります。

大切なのは、見た目だけで判断しないことです。

「前歯だけを後ろに動かせばいい」と考えるのではなく、なぜ前歯が出ているのかを診査したうえで、その子に合った治療方法を検討します。



サイン④ 受け口になっている

奥歯を噛んだときに、下の前歯が上の前歯より前に出ている状態を「反対咬合」、一般的には「受け口」と呼びます。

乳歯の段階で受け口になっている場合、

「永久歯に生え変わったら自然に治るかな?」

と様子を見る方もいらっしゃいます。

しかし、受け口には歯の傾きが原因となっているものや、あごの骨格が関係しているものなどさまざまなタイプがあります。

そのため、自己判断で長期間様子を見るのではなく、早めに歯科医院で状態を確認しておくことが大切です。

プレオルソにも噛み合わせの状態に合わせたタイプがありますが、すべての受け口をプレオルソだけで改善できるわけではありません。

骨格的な問題が強い場合などには、別の治療や長期的な経過観察が必要になることもあります。



サイン⑤ 永久歯がガタガタに生えてきた

6歳頃になると、少しずつ永久歯への生え変わりが始まります。

この頃によくあるご相談が、

「下の前歯が重なって生えてきた」

「永久歯が変なところから出てきた」

「歯が並ぶスペースがなさそう」

というものです。

永久歯は乳歯よりも大きいため、あごの大きさと永久歯のサイズのバランスによっては、きれいに並ぶスペースが不足することがあります。

ただし、歯が重なっているからといって、必ずプレオルソが適しているわけではありません。

永久歯の位置やあごの大きさ、生え変わりの状態などを確認したうえで治療方法を判断します。

歯そのものをより積極的に移動させる必要がある場合には、成長段階に応じてインビザライン・ファーストなど、別の治療方法を検討することもあります。



サイン⑥ 舌で前歯を押している

意外と見落とされやすいのが「舌の癖」です。

食べ物や飲み物を飲み込むときに舌を前へ突き出したり、普段から前歯の裏側を舌で押したりしているお子さまがいます。

舌は筋肉でできており、毎日繰り返し歯に力が加わることで、歯並びや噛み合わせに影響する場合があります。

例えば、上下の前歯が噛み合わず隙間ができる「開咬」などにも、舌の癖が関係するケースがあります。

そこで重要になるのが、装置だけに頼らないことです。



プレオルソと一緒に大切にしたいMFT

なんばエッセ歯科・小児歯科クリニックでは、小児矯正とあわせて**MFT(口腔筋機能療法)**も取り入れています。

MFTとは、舌や唇など、お口周りの筋肉を正しく使えるように練習するトレーニングです。

例えば、舌を適切な位置へ置く練習や、唇を閉じる練習、正しい飲み込み方など、その子に必要なトレーニングを行います。

プレオルソを「入れているだけ」で、長年身についたすべての癖がなくなるとは限りません。

装置による治療とMFTを組み合わせながら、普段のお口の使い方にも目を向けていくことが重要です。



サイン⑦ 指しゃぶりなどの癖が続いている

小さなお子さまの指しゃぶりは珍しいものではありません。

しかし、長期間続いている場合には、前歯の噛み合わせなどに影響する可能性があります。

同じように、

・爪を噛む
・唇を噛む
・舌で歯を押す
・頬杖をつく

など、毎日何気なく行っている習慣が、お口に継続的な力を加えることがあります。

大切なのは、癖を見つけたからといって強く叱ることではありません。

なぜその癖が出ているのかを考えながら、年齢や成長に合わせて少しずつ改善していくことが大切です。



4〜10歳頃は一度歯並びを確認してみましょう

なんばエッセ歯科・小児歯科クリニックでは、4〜10歳頃のお子さまの小児矯正相談を行っています。

「4歳で矯正相談は早くない?」

と思われるかもしれません。

しかし、4歳頃から相談する目的は、必ずしもすぐに矯正装置を使用することではありません。

乳歯の歯並びや噛み合わせ、お口ぽかん、舌の位置、呼吸、飲み込み方などを確認しておくことで、これからの成長を見守ることができます。

診察した結果、

「今は治療せずに経過を見ましょう」

となることもあります。

反対に、早い段階からお口の機能にアプローチした方がよいと判断する場合もあります。

「相談する=すぐ矯正を始める」ではありません。

適切な治療開始時期を見極めるためにも、気になるサインがあれば早めに相談することが大切です。



プレオルソが向いていない場合もあります

ここも保護者の方に知っておいていただきたいポイントです。

プレオルソは、すべての歯並びを治療できる万能な装置ではありません。

歯並びや骨格の状態、永久歯の位置、年齢、成長段階などによっては、別の矯正装置が適していることがあります。

また、取り外し式の装置であるため、決められた時間に装着するなど、お子さまとご家族の協力も重要になります。

「プレオルソをしたいからプレオルソを選ぶ」のではなく、診査・診断を行い、その子にプレオルソが適しているかを判断することが大切です。



小児矯正中こそ定期検診を大切に

小児矯正を始めたら、歯並びだけを追いかければよいわけではありません。

成長期は乳歯から永久歯への生え変わりが進む時期でもあり、むし歯予防も非常に重要です。

当院では、お口の状態に合わせて1〜3か月に一度の定期検診をおすすめしています。

定期検診では、むし歯や歯ぐきの状態だけでなく、永久歯の生え変わりや歯並びの変化、ブラッシングの状態なども確認します。

必要に応じてフッ素塗布やブラッシング指導、専門的なクリーニングなどを行い、矯正治療中も健康なお口を維持できるようサポートします。

歯並びを整えることと、むし歯のない健康な歯を育てること。

どちらか一方ではなく、両方を大切にすることが、当院が考える「予防歯科をベースにした小児矯正」です。



最後に

プレオルソについてご相談いただく際、「うちの子はプレオルソをした方がいいですか?」というご質問をよくいただきます。

私たちが大切にしているのは、最初から使用する装置を決めることではありません。

まずは現在の歯並びや噛み合わせだけでなく、あごの成長、舌の位置、お口周りの筋肉、呼吸や飲み込み方などを確認し、そのお子さまにとって何が必要なのかを考えることが大切です。

お口ぽかんや口呼吸など、一見すると歯並びとは関係なさそうな小さなサインから、お口の成長について考えるきっかけになることもあります。

「これくらいで相談していいのかな?」という段階でも構いません。

お子さまの歯並びやお口の癖について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

監修者情報

監修者情報

理事長新原 拓也

Takuya Shinhara

当院では、できるだけご自身の歯を大切にする予防診療をベースに一般的な保険診療、セラミック等を用いた審美治療、小児歯科、矯正、インプラント等、幅広く包括的な治療を行って参ります。現在私は二児の子育て中でありますが、美しい歯並びを獲得するには幼少期からの食育や筋機能療法が有効であると強く感じております。