TOPICS 医療コラム

プレオルソは何歳から始めるのがいい?

「プレオルソは何歳から始められますか?」

「4歳で矯正を考えるのは、まだ早いですか?」

「永久歯が生えそろってから矯正すればいいと思っていました」

お子さまの歯並びが気になり始めた保護者の方から、このようなご質問をいただくことがあります。

矯正治療というと、中学生や高校生になり、永久歯がすべて生えそろってから始めるイメージをお持ちの方も多いかもしれません。

しかし、小児矯正には子どもの成長期だからこそできるアプローチがあります。

その選択肢の一つが「プレオルソ」です。

プレオルソは、歯を一本ずつ細かく移動させることだけを目的とするのではなく、舌や唇、お口周りの筋肉、噛み合わせなどにも着目するマウスピース型の矯正装置です。

なんばエッセ歯科・小児歯科クリニックでは、4〜10歳頃のお子さまを対象に小児矯正の相談を行っています。

ただし、「4歳になったら全員プレオルソを始めた方がいい」という意味ではありません。

小児矯正で大切なのは、年齢だけで治療開始を決めるのではなく、お子さまの歯並びや噛み合わせ、お口の機能、あごの成長などを確認し、その子に適したタイミングを見極めることです。

今回は、プレオルソを始める時期について、4歳頃から相談する理由や、早めに歯並びを確認しておくメリットとともに詳しく解説します。



プレオルソとは?

プレオルソは、成長期のお子さまに使用する、取り外し可能なマウスピース型の矯正装置です。

一般的なワイヤー矯正やマウスピース型矯正では、歯に力を加えながら、治療計画に沿って歯を移動させていきます。

一方、プレオルソでは、歯並びや噛み合わせだけでなく、舌・唇・頬などのお口周りの筋肉のバランスや、お口の使い方にも着目することが特徴です。

子どもの歯並びには、歯やあごの大きさといった遺伝的な要因だけでなく、日常的なお口の使い方が関係していることがあります。

例えば、いつも口が開いている「お口ぽかん」、口呼吸、舌で前歯を押す癖、指しゃぶり、飲み込み方の癖などです。

成長期にこうした部分も確認しながら、歯並びや噛み合わせがより良い方向へ成長できるようサポートしていくのが、プレオルソを用いた小児矯正の考え方です。



プレオルソは何歳から始められる?

なんばエッセ歯科・小児歯科クリニックでは、4〜10歳頃を小児矯正相談の対象としています。

ここで注意していただきたいのが、

「4歳から相談できる」=「4歳になったら矯正治療を始める」ではない

ということです。

4歳のお子さまと10歳のお子さまでは、歯の生え変わりやあごの成長、お口の機能などが大きく異なります。

同じ6歳でも、永久歯がすでに何本か生えているお子さまもいれば、まだほとんどが乳歯というお子さまもいます。

そのため、「○歳になったらプレオルソ」というように年齢だけで治療開始を決めることはできません。

まずは現在のお口の状態を確認し、必要があれば治療を開始し、まだ必要がなければ定期的に成長を見守ります。



なぜ4歳頃から相談できるの?

「まだ乳歯なのに、歯並びを見ても意味があるの?」

と思われるかもしれません。

しかし、乳歯の時期にも確認できることはたくさんあります。

例えば、乳歯の歯並びや噛み合わせだけでなく、

お口が自然に閉じられているか、鼻で呼吸できているか、舌がどこにあるか、食べ物をどのように飲み込んでいるか、指しゃぶりなどの癖が続いていないか、といった点です。

永久歯がまだ生えていなくても、将来の歯並びに関係するお口の機能や習慣はすでに形成され始めています。

そのため、「永久歯がガタガタになったら相談する」のではなく、乳歯の時期からお口の成長を確認しておくという考え方があります。



4〜6歳頃に確認したいこと

4〜6歳頃は、乳歯が並んでいる時期から、少しずつ永久歯への生え変わりが始まる時期です。

この頃に特に見ておきたいのが、「歯並びそのもの」だけではなく、お口の使い方です。

テレビを見ているとき、お子さまのお口がぽかんと開いていませんか?

寝ているとき、口を開けて呼吸していませんか?

食べ物を飲み込むとき、舌が前に出ていませんか?

こうした日常の何気ない様子も、お口の成長を考えるうえで重要な情報になります。

また、受け口など噛み合わせに特徴がみられる場合には、早い段階で一度状態を確認しておくことが大切です。

診察した結果、すぐに治療を行わず、経過観察になることもあります。

「何もせず待つ」のと「歯科医院で状態を把握したうえで成長を見守る」のでは意味が異なります。



6歳頃から始まる「生え変わり」も大切なポイント

一般的に6歳頃になると、乳歯から永久歯への生え変わりが始まります。

特に前歯が永久歯に変わると、

「乳歯より大きな歯が生えてきた」

「前歯が少し重なっている」

「変な方向から永久歯が出てきた」

といった変化に気づくことがあります。

永久歯は乳歯より大きいため、あごの大きさや歯が並ぶスペースによっては、ガタガタした歯並びが目立ってくることがあります。

ただし、永久歯が少し重なって生えてきたからといって、すべてのお子さまにすぐ矯正治療が必要というわけではありません。

今後のあごの成長や生え変わりを考えながら、治療するのか、経過を見るのかを判断することが重要です。



7〜10歳頃でも遅くない?

「もう8歳だからプレオルソには遅いですか?」

「10歳になってしまったらできませんか?」

と心配される方もいらっしゃいます。

小児矯正は、「○歳を過ぎたら絶対にできない」という単純なものではありません。

重要なのは年齢だけではなく、乳歯と永久歯の生え変わり、あごの成長、歯並びや噛み合わせなど、その時点のお口の状態です。

7〜10歳頃は永久歯への生え変わりが進み、将来の歯並びについてさらに多くの情報が分かってくる時期でもあります。

一方で、永久歯の状態によってはプレオルソ以外の治療方法が適していることもあります。

「もう遅い」と自己判断せず、まずは現在のお口を確認することが大切です。



早く始めれば、早く終わるの?

小児矯正について誤解されやすいのが、

「4歳から始めれば、小学生のうちに全部終わる」

「早ければ早いほど治療期間が短くなる」

という考え方です。

実際には、早く治療を始めたからといって、必ず治療期間が短くなるわけではありません。

子どもの矯正治療では、永久歯への生え変わりやあごの成長を待ちながら進めることがあります。

そのため、途中で経過観察の期間を設けることもあります。

早めに相談するメリットは「早く終わらせること」ではありません。

お子さまのお口の状態を早く把握することで、必要な治療を適切な時期に検討しやすくなることです。



「永久歯が全部生えるまで待つ」方がいい?

永久歯が生えそろってからでも矯正治療は可能です。

しかし、小児矯正と永久歯列になってからの矯正では、治療の考え方が異なる場合があります。

成長期には、あごやお口周りの組織も発育途中にあります。

そのため小児矯正では、成長を見ながら、噛み合わせやお口の機能にアプローチできる場合があります。

永久歯が生えそろうまで待つことが適しているケースもあれば、その前に対応を検討した方がよいケースもあります。

だからこそ、**「治療するかどうかは後で決めても、相談は早めにしておく」**という選択肢があります。



プレオルソを検討したいお口のサイン

年齢だけでなく、普段のお子さまの様子も確認してみましょう。

例えば、いつも口がぽかんと開いている、口呼吸が多い、前歯が出ている、受け口になっている、永久歯が重なって生えてきた、舌で歯を押している、飲み込むときに舌が前へ出る、指しゃぶりが長く続いているなどの様子がみられる場合があります。

こうしたサインがあるからといって、必ずプレオルソが必要というわけではありません。

また、鼻づまりなどが原因で口呼吸になっている場合には、耳鼻咽喉科での診察が必要になることもあります。

重要なのは、「プレオルソをするかどうか」を先に決めるのではなく、なぜその状態になっているのかを確認することです。



プレオルソとMFTの関係

お口の機能を整えていくうえでは、装置だけでなく、普段のお口の使い方にも目を向ける必要があります。

そこで、なんばエッセ歯科・小児歯科クリニックでは、必要に応じて**MFT(口腔筋機能療法)**を取り入れています。

MFTは、舌や唇、頬などのお口周りの筋肉を適切に使えるようにするトレーニングです。

例えば、舌を適切な位置に置く練習や、正しい飲み込み方、唇を閉じる練習などを行います。

プレオルソを装着するだけで、長年の癖がすべてなくなるわけではありません。

装置による治療とトレーニングを組み合わせながら、日常生活の中でも正しいお口の使い方を身につけることを目指します。



すべてのお子さまにプレオルソが適しているわけではありません

「4〜10歳ならプレオルソができますか?」

という質問もありますが、年齢が対象範囲であっても、プレオルソが適していない場合があります。

歯並びや噛み合わせの状態、骨格的な特徴、永久歯の位置や生え変わりなどによっては、別の矯正治療を検討する必要があります。

例えば、歯を一本ずつ計画的に動かす必要がある場合には、インビザライン・ファーストなどのマウスピース型矯正治療を選択することがあります。

また、成長をさらに確認してから治療を始める方がよい場合もあります。

プレオルソ、インビザライン・ファースト、MFTなど、それぞれに役割があります。

装置ありきで考えるのではなく、お子さまのお口の状態に合わせて治療方法を選択することが重要です。



小児矯正は「始めたら終わり」ではありません

プレオルソを始めた後も、定期的な確認が必要です。

子どものお口は成長とともに大きく変化します。

昨日まで乳歯だった場所から永久歯が生えてきたり、あごが成長したり、噛み合わせが変化したりします。

そのため、治療開始時に立てた計画だけで最後まで判断するのではなく、成長を確認しながら必要に応じて治療方針を検討していきます。

プレオルソによる治療で十分な改善がみられる場合もあれば、その後インビザライン・ファーストなど別の治療が必要になる場合もあります。

小児矯正は、お子さまの成長と一緒に進めていく治療なのです。



小児矯正中こそ定期検診を大切に

4〜10歳頃は、歯並びだけでなく、むし歯予防の面でも非常に重要な時期です。

特に永久歯への生え変わりが始まると、お口の中には乳歯と永久歯が混在し、歯の高さもバラバラになります。

そのため、歯ブラシが届きにくい場所ができ、磨き残しが増えることがあります。

また、生えたばかりの永久歯は成熟した永久歯と比べてむし歯への注意が必要です。

なんばエッセ歯科・小児歯科クリニックでは、お子さまのお口の状態に応じて1〜3か月に一度の定期検診をおすすめしています。

定期検診では、むし歯や歯ぐきの状態だけでなく、永久歯への生え変わり、歯並びや噛み合わせの変化、歯磨きの状態なども確認します。

必要に応じてブラッシング指導やフッ素塗布などの予防処置も行います。

矯正をして歯並びだけを整えるのではなく、健康な歯を守りながら、お口全体の成長を見守ることが大切です。



「予防歯科をベースにした小児矯正」という考え方

当院では、小児矯正と予防歯科を別々のものとは考えていません。

歯並びを整える目的の一つは、将来にわたって健康なお口を維持しやすい環境をつくることです。

一方で、矯正治療中にむし歯になってしまえば、大切な永久歯を守るという本来の目的から離れてしまいます。

だからこそ、小児矯正中も定期検診を続け、むし歯予防やセルフケアを一緒に行っていくことが重要です。

さらに、舌や唇の使い方、呼吸、飲み込み方などにも目を向けながら、お口の「形」と「機能」の両方を確認していきます。

歯並びだけを見るのではなく、お子さまのお口を総合的に育てていくことを大切にしています。



最後に

「プレオルソは何歳から始めたらいいですか?」

この質問に対して、すべてのお子さまに「○歳がベストです」とお答えすることはできません。

同じ年齢でも、歯の生え変わりやあごの成長、お口の機能は一人ひとり異なるからです。

大切なのは、早く治療を始めることではなく、必要なタイミングを見逃さないことです。

4歳頃の段階でお口を確認し、今は治療が必要ないと判断すれば、定期検診を続けながら成長を見守ることができます。

一方で、噛み合わせやお口の機能などに気になる点があれば、成長期だからこそできるアプローチを検討できる場合があります。

「まだ乳歯だから」「もう少し様子を見てから」と迷われている方も、まずは現在のお子さまのお口がどのような状態なのかを知るところから始めていただければと思います。

監修者情報

監修者情報

理事長新原 拓也

Takuya Shinhara

当院では、できるだけご自身の歯を大切にする予防診療をベースに一般的な保険診療、セラミック等を用いた審美治療、小児歯科、矯正、インプラント等、幅広く包括的な治療を行って参ります。現在私は二児の子育て中でありますが、美しい歯並びを獲得するには幼少期からの食育や筋機能療法が有効であると強く感じております。